Medical Cabinet by Raymond Rowey
インダストリアルデザインの巨匠、レイモンド・ローウィ。
1950s Hill-Rom社製 ヴィンテージキャビネット
「機能」だけでなく「美しさ」を併せ持つデザイン。
ミッドセンチュリー期のアメリカで生まれた、どこかノスタルジックでありながら力強い存在感を放つキャビネット。
この一台の背景には「近代インダストリアルデザインの父」と呼ばれるレイモンド・ローウィの深い哲学と、当時の最新技術が凝縮されています。

アメリカの産業デザインの歴史を創り上げたデザイナー
20世紀半ば、アメリカで「インダストリアルデザイン(工業デザイン)」という職業そのものを確立し、その発展を牽引したのがフランス生まれのデザイナー、レイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)です。彼は単に製品を「装飾する」のではなく、量産製品に機能性と普遍的な美しいフォルムを与え、人々のライフスタイルそのものを豊かに変革していきました。

「口紅から機関車まで」――あらゆる領域をデザイン
ローウィの仕事のスケールを象徴するのが、自身の著書タイトルでもある『口紅から機関車まで(Never Leave Well Enough Alone)』という言葉です。
手のひらに収まる小さな口紅の容器から、コカ・コーラのボトルのブラッシュアップ、ペンシルベニア鉄道の流線型大型SL機関車「S1」、さらにはNASAのスカイラブ(宇宙ステーション)の室内デザインに至るまで、ローウィの手掛けたプロジェクトは多岐にわたります。機能的でありながら人々の心を掴む魅力的なデザインを次々と世に送り出しました。

日本にも関わりの深いローウィ哲学
ローウィの仕事は日本とも深い関わりを持っています。それまでのイメージを一新させ、終戦後の日本で「平和」への願いを込めてデザインされた「ピース(PEACE)」の紺色と鳩のマークや、「ラッキーストライク」の印象的な赤い円のデザインは、半世紀以上が経過した現在でもほぼ変わらぬ姿で引き継がれていいます。
Hill-Rom社の同シリーズのチェアも木とメタルのコンビネーションによる個性的なデザイン。

冷たい施設家具に「温かみ」と「機能」を両立
本プロダクトは、アメリカの大手医療・ヘルスケア家具メーカーHill-Rom(ヒルロム)社のために、ローウィのオフィスが手掛けた非常に珍しいモジュールファニチャーシリーズの一つです。
1950〜60年代当時の医療機関や施設向け家具といえば、冷たく無機質な金属製のものが大半でした。そこでローウィは、患者や利用者が少しでも寛げるよう「家庭的な温もり」を感じさせるウッド調のデコラティブ(プリントメラミン化粧板)パネルを採用。一方で、構造部やフレームには耐久性の高いスチールを組み合わせ、「家庭的な温もり」と「商業・医療家具としての堅牢性」を両立させました。

実用性を残した過飾のないモダンデザイン
病院や施設というタフな環境で使用されることを前提として開発されたため、構造は強固で実用的です。過度な装飾を削ぎ落としながらも、ローウィ特有の絶妙なプロポーションと素材の切り替えによって、半世紀以上が経過した現代の空間にも調和する佇まいがあります。

象徴的な流線型ハンドル
ローウィらしい緩やかな曲線を描く流線フォルムが、木の温もりを感じさせるフロントパネルにアクセントを与えています。日常のちょっとした操作にプロダクトデザインの醍醐味を感じていただけます。

360度隙の無いデザイン。
このキャビネットの大きな魅力の一つが、背面(バックパネル)の仕上げです。医療用として機器の放熱性や通気性を高めるために施されたパンチング加工のメタルパネルは、裏側を見せるレイアウトでも存在感を放ちます。壁際に置くだけでなく、お部屋の中央やデスク横に配置して「空間を仕切るパーテーション」としてもおすすめです。
同年代の家具と並んでも存在感のあるキャビネットです。
メーカー名:Hill-Rom Company
デザイナー:Raymond Loewy
年代:1950s
国:USA
サイズ:W 544mm / D 440mm / H795mm





